昨日のジャスミン、今日のダージリン。

日々のエッセイのようなもの。

2023/01/08

  • 昨日に引き続き、大竹伸朗展のお話です。会場でハッとしたことがあったので書きます。

  • 昨日のタイトルでも匂わせましたが、大竹伸朗は日常に溢れている「偶然性」に注目した作品を多く作っています。今回の展示の中では作品番号217『影I』や作品番号219『サンティアーゴ』など。タバコの吸い殻、絵の具のチューブ、自転車のタイヤ(?)、靴下(?)などなど、作業場に偶然転がっていたものを画材として利用したと言われる作品があります。

タバコの吸い殻

絵の具チューブ

自転車のタイヤ

靴下?

  • そんな何でもありの自由な作品ばかり見ているうちに、芸術には決まったやり方など無いということを肌で感じていきました。そうして作品を見て行くうちに、私は何でもありゆえの勘違いをしてしまいました。それは作品番号105番『網膜台(アンブルサイド)』という作品です。

  • 作品の番号札の近くには何も作品が無く、その番号札の隣には大きな非常扉がありました。私は「なるほど、これはただの非常扉に見えて、実は作品なんだな」と感銘を受けてこの写真を取ったのです。

  • しかしもちろんそんなことはなく、本物の『網膜台(アンブルサイド)』は番号札の向かいにありました。

網膜台(アンブルサイド)

  • 勘違いは勘違いなのですが、勘違いした恥ずかしさと同時に、非常扉でさえも作品になりうると本気で信じることが出来た嬉しさがありました。そんな解釈はあくまで大竹伸朗だから許されることですが。以上、ハッとした出来事の紹介でした。


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今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
常識を疑うことは常識がある前提でこそ成り立つ行動ですが、大竹伸朗展はそもそも常識すら存在しない世界でした。